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「屍者の帝国」 伊藤計画 円城塔
今世紀最大にして最高の名作を今日はバカなりに取り上げてみたいと思います。

最高といっても世界で類するものなしという壮大なものではなくて、日本SF界最高というくくりつきですが
そんなもんはあちゃらの国ではなんぼでも量産されている美辞麗句なので気にしません。
最高と言ったら最高であり、鳴かず飛ばずという程ではないにしろ低迷していた日本SF界に耳目を集める作品が
生まれたのは事実であって嬉しい事です。はい。

もはや語ることもないほどに高名となった天才伊藤計画と、なぜ芥川賞を取ったのかよくわからない(もちろんいい意味で)円城塔の共著。
夭逝した伊藤計画の遺稿を引き継ぐ形で書き上げた円城塔とのドラマもさることながら、内容的にもグンバツです。はい。

そもそも伊藤計画は、巧みな情景描写と物語の抑揚、展開と収束の妙がウリな情熱系だとおもっとります。
円城塔は遊び心満載でありながらも文学的な企みを、文学だからこそできる表現を駆使する技巧系。
この二人の共著となれば期待しない方がそりゃバカでしょう。となります。
実際のところ伊藤計画が書いたのは30ページ程で、残りの全てを円城塔が書き上げたわけですがそりゃもう絶句ものの面白さ、睡眠不足必至なわけです。
古今を見れば共著におもしろくないものがあったためしがあるでしょうか。
古くはエラリィ・クイーン、日本では岡嶋二人、別ジャンルでは藤子不二雄。
あぁあとゆでとたまごさん。
そんな有名人と並べても遜色ありませんよ。これは。
そして物語にはSF的斬新なアイデアはありません。19世紀のパラレルワールドな世界には死体復活術が蔓延り。それを使って、あるいは巡って各国が争い、経済的に競い合っている世界。
そしてその礎を築いたのはフランケンシュタイン博士であり、各国の英傑がifの物語を紡ぎあげるのです。
西行法師も考えた古来のアイデアを二人の天才が料理したこの作品に僕はロマンと栄光を感じるのです。
日本のSFは死んでいると思っている方にこそうってつけ。
パスティーシュ満載の遊び心あふれる、日本SFの新たな夜明けを感じさせるこの作品をどうぞ一読してみてくださいませませ。

しかしもし伊藤計画が存命で、この作品を書き上げたなら、どういった作品になっていたか?
なんていう事を想わずにはいられなかったりするんです。でもそれはきっと、未来のフランケンシュタイン博士が成し遂げ、その時に生きる誰かが目にすることができるんしょう。

実に羨ましい限りです。はい。
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