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劇場鑑賞レポ「バレット」
我らが美しい国「ニッポン」が、アベノミクスにより景気回復の兆しをみせはじめているかどうかは、今期ボーナスが大幅にカットされた私のような労働者には全くもって実感がない。しかし、そんな私でも自信を持って言えることがある。美しい筋肉スター「シルベスタ・スタローン」は、今間違いなくバブル期にあるということだ。「ランボー最後の戦場」「エクスペンダブルズ」以降のスタローンの快進撃は、それ自体好きかどうかは別としても、好事家の皆様なら周知の事実だろう。かくいう私も、エクスペンダブルズは1も2も大好きだ。しかし、バブルであるからこそ冷静であろうとする自分もいる。スタローンってだけで手放しに賞賛するムードさえある今だからこそ、次回作は冷静に観なくてはならない。なんなら、劇場はスルーしてレンタルになるまで待つくらいが、温度としては丁度良いのかもしれないな。と、エクスペンダブルズ2の特典ディスクを観ながら次回作について思いをめぐらせたその数ヵ月後に見た劇場のチラシにはこう書かれていた。「バレット 監督ウォルター・ヒル×主演シルベスタ・スタローン」
冷静でいられるはずがない。ウォルター・ヒルが10年振りにメガホンを取り、スタローンが主演をはるというなら、これは嫁を質に入れてでも問答無用で劇場に足を運ばなければならない。70年中盤より、「ウォーリアーズ」「48時間」「ストリート・オブ・ファイアー」など、あらゆる男の生き様を撮り続けてきた御大が、同時期に文字通り裸一貫で男の生き様を体現し、現状あらゆる世代から最も信頼され最も頼られる男を主演に映画を撮るのだ。エクスペンダブルズが参加自由の男祭りなら、こちらは参加強制のブートキャンプのようなものだ。

【あらすじ】
ニューオリンズの殺し屋、ジミー・ボノモ(通称:ボボ)は何者かに相棒を殺されてしまう。落とし前をつけるために、黒幕を追うボボは、同じ事件を追うワシントン警察の刑事テイラー・クォンと反発しあいながらも協力し、事件の真相に迫っていく。

はい、単純明快。これだけシンプルなストーリーであればこそ、いかに観客を飽きさせないか、どう持ち味を入れるのか、監督の手腕が問われる。まず、舞台が良い。ロスでは舞台としてやりつくされてるし、ボボの渋みを照らすには少々日差しが強すぎる。ニューヨークってのもなんか違う。21世紀のニューヨークは、セックス・アンド・ザ・シティーであり、女性的なイメージすらも与えかねないキャリアの中心地。シカゴってのも悪くないかもしれないが、シカゴはいつ覆面をかぶった強盗集団が黄色いスクールバスで突っ込んでくるとも限らない危険な街だ。ボボが生きるには常軌を逸しすぎている。となると、ニューオリンズがベスト。メタルでもパンクでもブルースでもない、ジャズとファンクの街こそボボが生きる街には最もふさわしい。制作に関してニューオリンズは免税があるとかないとかそんなことボボには関係ない。ニューオリンズ以外考えられない。
あらすじだけを見ると、シンプルなバディムービーであり、「48時間」のウォルター・ヒルからするとしごくストレートな設定にみえるが、ボボのバディとなるワシントン警察のテイラー刑事は韓国系アメリカ人であるというところにひねりが効いている。古き良き大人の街に生きるビンテージ感たっぷりのダーティーヒーローであるボボに対して、スマホとモバイル機器を駆使して清く正しい正義を貫く若き刑事テイラーは、アジア系を含めた有色人種が人口の大半を占めるアメリカにおける新しい(現代的な)アメリカ人の価値観の象徴として機能している。こうした各キャラクターが己の信念と生き方を誇示しぶつかり合うところにこそバレットの神髄がある。
己の信念とルールは絶対にブラさない殺し屋稼業。法による正義をまっとうしようとする若き刑事。金こそ全てであると豪語する不動産王。プロとしてのプライドを誇示する傭兵。良い奴も悪い奴もそれぞれにルールがあり、誰もその信念を曲げない。屈さない。そして死んでいく。だからカッコイイ。
エンドロールの暗闇の中、果たして自分にこれほどの確固たる信念とルールがあるだろうかと考えてしまう。ボボに銃口をつきつけられ問われている気分だ。生半可な返事をした時、あいつは容赦なく引き金を引くだろう。そうならないためにも、すべての男子はこの映画を観て、恥ずかしくない男の生き方を学ぶべきなのだ。
映画を観るということは人生の予行演習であり、「バレット」は通過儀礼的成長を遂げにくい現代における兵役義務である。兵役から無事に戻ってきたら、君はもう立派な大人の男だ。
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