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Fellatio Destination
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「ウーパー」
jijie
正月三賀日中の事。初詣に出かけたら正月気分の歩行者でいっぱいの歩道へ向けて
車道から放尿している爺ィがいた。口がハートの形になっていた。
2013年はよりスピードと暴力が支配する世の中になると確信した。
「レジェンド」 マリー・ルー


最近はマジックオンラインをバカの様にやって本を読む時間もお金もないので、以前に読んだSFを一つ取り上げてみます。

どうやら本作世界のティーンに熱狂的なエールを送られている作品らしく続編も執筆中だとかなんとか。
あらすじをおおまかに書くと
身分も思想も違う少年と少女が出会って、仄かに想い合って、別離して、最終的にはくっつくという王道ストーリー。
しかも二人とも天才的な才覚を持ち、かたやエリート。かたや天才の落ちこぼれ。という夢見る少年少女がドはまりするコントラスト。
そもそもこういったジュブナイルな本はSFでは絶対に読まないのですが、何分書店に並んでいた時の帯がすごかったので手に取った次第なのであります。
その帯にはAKIRAの文字が躍っており、これはそんなにおもしろいものなのかと期待をはらませるを必至。
しかし読後、消化不良のまま帯をよくよく読んでみれば
「AKIRAの近未来で」という表現だった事に今更ながら気付く僕。
ああバカです。
大森望氏にしてやられました。
何をどう間違ってもAKIRAと比較するべくもない。
そもそもAKIRAの文字が目に飛び込んでこなければ期待でハードルをあげることもなかったでしょう!
そういう点では作者には何の非もない!
もちろん帯を書いた大森氏も何も恥ずべき点はない!
勝手に勘違いして、勝手に落胆している僕にこそ非はあるのです。
あぁバカ!僕のバカ!!
今まで散々前評判やら下馬評やら風説やら迷信やらに騙された筈なのに!!

こうして僕は結局AKIRAの時とはまた違った熱狂を得、
何やら表現できない澱の様なものを心に残したまま二度と帯など読むものかと誓ったわけです。



「ルーパー」
9歳年下の人から、これからは「魔法少女まどか☆マギカ」を見た人間と見ていない人間とでは
かなりの差が出る、と断言されおっかなくなったので早速全12話を見たわけです。
なので、これからは見てない人間を見下しても良い存在となりましたので、お前らみたいなクズは徹底的に見下したいと思います。
で、魔法少女の感想ですが。
キミらこんなん好っきゃなあ~
ということに尽きる。
要するに、泣けるぅ超泣けるぅシコシコ…ぅぅ泣けるぅぅシコシコシコ…うっイク!
タイプの「泣きシコリ型」ですよ。
でもね、このアニメを否定する気は全くないですよ。
なぜなら15年前くらいは僕も泣きシコリばっかしてましたしね。
「まど☆マギ」のストーリーを説明するとガッカリして見ないバカがいるかもしれないので、
あまり詳しくは書きませんが魔法少女の一人がタイムリープを繰り返し孤独な戦いを続けている話が
あるとです、これが大きな泣きポイントとなっとるとです。ヒロシです。
ヒロシもあの芸だけを延々と繰り返し、孤独に芸能界と戦った魔法芸人ですよ。
タイムリープ物はどうもハッピーエンドになりにくい、というかハッピーエンドが何らかの犠牲の上でしか成立しない作品が多いのではないでしょうか。
「まど☆マギ」も例に洩れず切ない終わり方をしますよ。どっかで見たことあるような終わり方を。
既視感がある!これは既視感!既視感!と年配の方は騒ぎたがりますが、ちょっと冷静に考えてみましょう。
ある程度の教養のある30代ともなれば大概のお話は既知で当然。それを知っているようなストーリーだから面白くないと言うのは馬鹿げたことです。やめましょう。
自分には100回目でも誰かにとっては1回目の可能性があることを常に頭に入れておかないと、年をとるにつれ後悔すること必至。
でも、もうお腹いっぱい。
筒井康隆の「時をかける少女」で一夫のことを和子だけが覚えてるみたいな感じの終わり…多い…。
死ぬほどだるかった「シュタインズ・ゲート」もそんなお話でしたね。

「まどか☆マギカ」とヒロシについて書いてしまったが、これからが本題。
2012年町山智浩さんのベスト1映画「ルーパー」ですよ!
はい!タイムトラベル物です!
映画でも一つのジャンルと考えてもいいほど多いのがタイムトラベル、タイムリープ、タイムワープと色々と呼び名がある、時間映画。
僕が初めてこのジャンルの映画ですげぇと興奮したのが、バンダムの「タイムコップ」なのでその程度のリテラシーしかないことをご了承頂きまして、それでもけっこう好きなジャンルなんですよ。
何度も限定された一日を繰り返す「恋はデジャブ」「ビューティフルドリーマー」「ミッション8ミニッツ」も好きな映画ですし、過去に戻り未来を変えようとする「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「バタフライエフェクト」「デジャブ」もテレビで放送してりゃ必ず見るレベルの好き映画。
「戦国自衛隊」のようにハプニングで過去に行ってしまう映画より、
明確な意思をもって過去に戻る映画は燃える。やくざの事務所に殴りこみに行くような覚悟の場面。
取り返しのつかないことをやりに行く奴は文句なしにかっこいい。
あの魔法少女も時間を繰り返す度にかっこよくなっていってたしね。

で「ルーパー」なんですが、これは厄介な映画ですよ。
主人公は悪の組織が30年先の未来から送ってくる人を殺す、殺し屋。
いつものように銃をかまえ未来から送られてくる標的を待ってたらブルース・ウィリスが出てきて、
さらにブルース・ウィリスが未来の自分だったので腰抜かす。
ブルース・ウィリスは30年前に戻って、30年後に奥さんを殺すことになる組織のボスとなる子供を殺そうとするんですが、その方法がけっこう雑で…。ってお話。
9:11以降のアメリカ映画的メッセージが明確にあって、つまり暴力の連鎖を止めるためにはどうするべきか?を訴えかけてくる作りになっている。
一昨年の映画「ミッション8ミニッツ」では列車爆破テロの犯人を捕らえるために、主人公は爆破までの8分を延々と繰り返す。そんな何度も繰り返す8分の中で当初は任務の遂行しか頭になかった主人公が、最終的に列車に乗っている乗客全員を愛おしく思うようになり人間として成長し奇跡を起こすクライマックスで泣ける。
「恋はデジャブ」でもそうだが、主人公は人生の大切さや人を愛することを学んで
延々と続くタイムリープを抜け出す。
「ルーパー」の主人公も初めは殺し屋でヤク中のクズだが、
ラストにある決断をするほど成長を見せるのが素晴らしい。
しかし、この映画が本当に素晴らしいのは主人公と未来の自分であるブルース・ウィリスが
ダイナーで対面する場面。
色々と聞きたい主人公はブルース・ウィリスに質問をするが、
ブルースは「やめろ!タイムトラベルの話は複雑すぎる!」と断るところが新しい。
この一言でこの映画はタイムパラドックスとかを真剣に考えている本格SFではないですよと理解できるし、
なにより「あ、説明しなくてもいいのか」という気づきを与えてくれる。
舞台は2044年なので31年後。でも、この映画の2044年は現実の2044年を予想したものでなく、
あくまで「ルーパー」の世界の2033年。
だから銃は旧型だし懐中時計を持っていたりとテクノロジーの進化の偏りがよくわかる変な未来。
車も街に溢れる難民みたいな人々もすげぇ汚い嫌な未来。
物語の後半はそんな街を離れ、農場が舞台となるが、ここからはいわゆるネタばれってやつなのでやめます。

ハリウッドのアクション映画!スカッと爽快!単純おもしろ!
を求めると肩透かしをくらうが、なかなか感動出来るラストに仕上がっている。
「魔法少女まどか☆マギカ」の主人公と「ルーパー」の主人公を重ねて見れば、普段はアニメしか見ないくせに
偉そうに物を語るバカも納得できるラストではないでしょうか。

延々と過去だか未来だかわからない現在を生きているのは我々であって、
ぼんやり退屈な人生を抜け出すためには、自分を成長させるしかないことを時間映画は教えてくれる。
未来を変えるためにやると決めたあの主人公たちの眼差しは我々に向けられているのだから。

ルーパー